真面目に生きるのも楽しいよ

イタリア帰りの理系大学院生が、真面目でいることを自己肯定するために、勉強・大学の研究室・英語などなどについて綴ります

【本・感想】AI兵器と未来社会 キラーロボットの正体 / 栗原聡さん著【人工知能は知能を持ち得る?】

こんばんは。りゅうです。寒くなってきましたね。

先日読んだ本について書こうと思います。

 

AI兵器と未来社会 キラーロボットの正体 (朝日新書)

AI兵器と未来社会 キラーロボットの正体 (朝日新書)

 

 

 

 

こんな方におススメ

・AIについて一般的知識を得たい方

・AI兵器の現状と現実味を知りたい方

・知能を持つとはどういうことか考えたい方

 

感想

タイトルから想像するに、頭からお尻までAI兵器について書かれたものかと思いきや、

AIの発展した歴史から始まり、そもそも意識って何? 知能はどうやって設計できる?

と言ったAI全体にも通ずる議題にも触れた後、

AI兵器について詳細に書かれていました。

 

予想していた内容とは異なりましたが、

知能から切り込んでいることで、AI兵器に対して新しい見方を得ることが出来ました。

 

知能とは

本の中では、知能についてかなりのページが割かれていました。

具体例として、蛍やアリの例が出てきています。

 

アリの例は、巣から餌まで、最短ルートを通ってアリが行ったり来たりするといった、

どこかで聞いたことのある例でしたが、改めて考えてみると、不思議な感覚に陥りました。

 

アリのルートが固定化されていくのは、

アリが歩いた経路にフェロモンを残すことと、

後続のアリが、フェロモンの匂いが強いルートを選ぶことが相まって、

最終的に皆が通る道が最短ルートになるというもの。

 

確かに賢い選択をしているようにも見えるんですが、

これは結局、フェロモン濃度の高い道を選ぶという一つのルールに従っているに過ぎず、

ただ合理的であるだけのような気がしてしまいます。

 

ただ、僕がここで考えたのは、合理的なものを知能と認めるか否か、ということです。

そして、認めない理由を探すよりも大切なことは、

そもそも知能とは何か考えてみることだと思います。

 

知能について語るに当たって、人間が知能を持っていることは、疑いもない事実だとしたとき、

じゃあ、その知能とは何だい? 合理的なものを知能と認めるのは正しいのか?

という勝手な疑問を、このアリの例から考えていました。

 

AI兵器について

AI兵器という言葉からよく、ターミネーターのような自律的に行動する兵器を連想しがちですが、

実際、ああいったものはAI兵器の最終的な形態です。

 

ターミネーターのような機械の実現は相当先の未来の話だと思われます。

 

また、AI兵器が「合理的な」「経験に基づいた判断より」破壊行為を行うとしても、

そもそも兵器である時点で、その必要性を積極的に認めることは出来ません。

 

戦場に直接、人員を送る代わりにAI兵器を送るにしても、

その結果として、他の命が失われる可能性がある限り、

そういった兵器を手放しに、積極的に認めることはあり得ません。

 

画像認識技術と学習済みモデルを兼ね備えた兵器が、

恐ろしい破壊力を持つことは容易に想像がつきます。

 

科学技術の発展は、人類の生活の発展のために最大限活かすべきですが、

戦力としての運用については、その技術の潜在力までも考慮した判断が必要になるのでは、と僕は思っています。

 

とは言っても、機械が暴走して「全ての人間は敵だ!」と気付き、

SF映画のような世界が訪れることは(現時点では)考えにくいと思います。

 

まとまりのない文章になってしまいましたが。笑

 

僕はAI兵器の実現には全く賛成できませんが、

この意識には、兵器自体について否定的であることが関係しているかもしれません。

 

ですが、兵器ダメ、と感情的に訴え続けることは、理論的ではなく、他人に伝わりにくいものなので、

「AI兵器と普通の兵器の違いと共通点」や

「兵器はそもそも必要なのか」といった問題に、

ちゃんと言葉を持って答えるための知識や思考が必要だな、まだまだだな、

と気の引き締まる一冊でした。