【本・感想】新訂版 貧乏モーツァルトと金持ちプッチーニ / 正林真之さん著【天才は必ずしも稼げるわけじゃない!?】
こんにちは。りゅうです。
先日はこちらの本を読みました。
インパクトの強いタイトルに惹かれて、大学図書館で借りちゃいました。
天才がその才能を活かせばお金持ちになれる、というわけではない事実を学べる興味深い一冊でした。
どうすればモーツァルトはお金を稼げたのか? その答えを知ることができました。
さらに、モーツァルトから話は広がり、日本・日本企業の戦略のまずさにも触れられています。
要約
誰もが認める天才、モーツァルトの生活は苦しかったという驚きの事実から始め、モーツァルトの作品管理の何がまずかったのかに触れます。一方、プッチーニはどうして金持ちであったのか、という分かりやすい対比がなされています。
それと重ね合わせるように、国家の技術戦略について述べていきます。
音楽の才能と違い、技術は数年でコピーできるものであるにも関わらず、日本は知的財産を守ることがちょっと苦手のようです。
モーツァルトの生活から見えてくる権利化の重要性
僕は、クラシック好きとして、モーツァルトの生活が苦しいものだったという事実に大変驚いたんですが、きっとクラシックにご興味のない方にとっても、意外な事実なのではないかと思います。
この本でも述べられている通り、モーツァルトは誰もが認める天才で、数々の名曲を生み出し、音楽史に永久に名前を残す音楽家ですが、その才能をお金につなげる苦手だったようです。
対して、プッチーニはイタリアのオペラ作曲家。優れた音楽家であることは間違いありませんが、(比べるものではないことは百も承知で)モーツァルトより優れていた、とは言い切れません。
(余談ですが、プッチーニは序曲がおすすめです。)
しかし、その生活は大変裕福で、お金に困ることはなかったそう。
一体、モーツァルトとプッチーニは何が違ったのか?
それは自身の音楽を権利化したか否か、でした。
モーツァルトは作曲をしたら、権利化も何もせず、曲を丸ごと売っていたため、それ以上の収入を得ることはできませんでした。
プッチーニは曲に権利を設けることで、どこかで自身の曲が演奏される度に、チャリンチャリンとお金が入るようにしていました。
とっても簡単な話なんですが、どちらも大活躍した作曲家であるにも関わらず、その生活には雲泥の差が生まれてしまったのです。
この流れから、本の内容は現代へと移り、特許や知的財産でいかに稼ぐか、そして知的財産を守るにはどうすべきか、具体的な例とともに分かりやすく解説されます。
知的財産について
この本には本当に具体例が溢れていて、説明や解説に大変説得力がありました。
なので、世の中の具体的な例については、実際に本を読んで触れてみてください!
僕が後半を読んで感じたのは、知的なものを管理し、価値を守ることの重要性でした。
モーツァルトの例からも分かるように、いかに素晴らしいものを生み出しても、その後の管理を怠れば本来の価値よりもずっと低いお金しか手に入れることができず、生活を持続させていくこともままならなくなってしまいます。
モーツァルトには、誰にも真似できない作曲の技術がありましたが、現代で守るべき技術やアイディアは、きちんと守らなければすぐに模倣され、盗まれてしまう危険性があります。
価値のあるものは、きちんと特許を取って守らない限り、本来の価値に見合ったものを得ることはできません。
しかし、技術を守りぬくことと、一見反対の動きを見せた例もあります。しかし、その策略に思わず感心しました。
トヨタがハイブリット自動車に関する技術を上手く用いて、ハイブリット車の市場を広げようとした例が紹介されています。気になる方は是非チェックしてください。
技術国として大躍進したものの、この頃あまりぱっとしない日本が、今後技術をどのように守っていくべきなのか。そのヒントをこの本から得ました。おすすめです!!