真面目に生きるのも楽しいよ

イタリア帰りの理系大学院生が、真面目でいることを自己肯定するために、勉強・大学の研究室・英語などなどについて綴ります

英語? イタリア語?

一昨日、昼食を採っている最中、隣に座っていた僕と同い年のインターン生が、

「そういえば、――(僕の名前)ってどういう経緯で、ここでインターンしているの?」

と聞いてきた。

 

そういえば彼には話してないな、と思ったが、ちゃんと説明しようにも、一体何処から説明すれば良いのか分からない。

イタリアワインが好きで、どうにかしてイタリアに来ようとした結果、ここにいる、と言う訳にもいかない。

 

「英語でいい?」と断ってから、ワインのことを出さない真面目な経緯を簡単に話すと、彼は目をぱちくりとさせ、明らかに驚いた顔をした。そして、ワオだか何だか呟いた後に、

「びっくりした。――って英語話せたんだ」

と彼は言った。それを聞いて、僕も驚いた。もうこのオフィスに来て、二か月が経とうとしている。

 

この話だけだと、イタリア語で全てやっていけているように聞こえるが、勿論そんなわけもなく、研究の話をするときは大体英語を使っている。

「イタリア語で話してみていいよ」

とたまに、上司から鬼の優しさが向けられるが、うーーーー、と唸りながら言葉を捻り出そうとして、やっぱり無理だと諦め、英語で話し始める。

その度、相当悔しい思いをするのだが、

信号を解析するとか、ノイズがどうとか、サンプリングって2の乗数じゃないとダメですかとか、

どうやって言えばいいのかさっぱり分からない。

 

その分、日常会話ではイタリア語を使おうと頑張っている。リラックスするときというか、コミュニケーションをとるときに、お互い母国語でない英語を使うのはちょっとストレスになる。

 

半分くらいは分かるが、もう半分くらいは聞き返さないと理解ができない。とにかくイタリア人は話すのが滅茶苦茶速い。ゆっくりお願いします、と何度も言ってきたが、それが利くのはほんの数分だけだ。

 

たまに単語を知らないせいで、何度聞いても分からないことがある。

その場合、英語でその単語を説明してくれるのだが、人によってはイタリア訛りが強すぎて、英語のはずなのに単語が一つも聞き取れない。そうなると、僕の頭はぐちゃぐちゃになる。

ちんぷんかんぷんな顔をしている僕に、

「あれ、英語分かるよね?」

と訝しそうな顔をして、イタリア語で聞いてくる。

分かるわ! と内心思いつつ、うん、分かる分かる、と申し訳なさそうな顔を作って頷いている。

 

英語すら役に立たないこういった状況に陥ることには、だんだんと慣れてきた。

落ち込んでも仕方ないので、「もっとイタリア語を勉強しよう、イタリア語で会話ができるようになれば、もうこんな状況はやってこないし」と前向き(?)に考えることにしている。